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シンガポールの法人設立(会社設立)及び、法人税のすべて

2019/10/21

シンガポールの法人税は17%です。シンガポールは最も法人税率が低い国の一つと言われています。
本ページではシンガポール法人税の詳細を徹底解説します。

 

シンガポールの法人税完全ガイド​

日米公認会計士 山下 英男

シンガポール政府認定コンサルタント/ 英国 経営学修士(MBA) 泉 美帆

 

シンガポールに法人設立・移住する最大のメリットの一つは、なんといっても低い法人税率ですね。ここでは、シンガポールの法人税率について知っておきたい、以下のポイントについて解説します。



1. シンガポールの法人税率

シンガポールの法人税率は17%で、世界の中でも最も法人税率が低い国の一つです。

また、この低い法人税率に加えて、法人税にかかる優遇税制もいくつか存在するため、最終的には17%よりもさらに低い法人税率に落ち着くことが多く、これが多くの企業をシンガポールに引き付ける魅力の一つとなっています。

シンガポールが「タックスヘイブン」「タックスプリファード」等と呼ばれることがあるのも、この低い法人税率からですね。東南アジア各国で見た場合にもシンガポールが頭一つ抜けて、税率が低くなっています。

シンガポール: 17%
タイ: 20%
インドネシア: 25%(上場会社は20%)
マレーシア: 24%
ベトナム: 20%
フィリピン: 30%
ミャンマー: 25%
カンボジア: 20%
ラオス: 24%

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2. 法人税対象者

シンガポールにて登記されたシンガポールの現地法人、および支店が対象となります。

そもそも利益は出ない前提である駐在員事務所を除いて、シンガポールに進出して利益を出した場合、当然シンガポールで法人税納税の義務があるということですね。 シンガポールへの進出形態について詳しくはこちら

先述のシンガポールの優遇税制に関して言うと、現地法人・支店ともに法人税は課されますが、優遇税制は現地法人のみに適用され、支店には適用されません。

シンガポールの法人所得税法(Income Tax Act)の規定では、外国企業のシンガポール支店は海外の本社が経営・管理を行っているため、基本的に、シンガポール国内で事業の経営・管理が行われている「居住法人」とはみなされず、「非居住法人」という扱いになり、様々な優遇税制を利用することができない決まりになっているのです。

また、支店の形をとる場合、まずはシンガポールで納税しますが、最終的には利益は日本本社と合算されて日本の法人税も課されることになりますので、いずれにしても支店の場合はシンガポールの低税率メリットは享受することができないということになります。

※シンガポールで納税した部分については、一定の範囲は日本にて外国税控除の対象とすることができます

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3. 課税対象となる収益、ならない収益

シンガポールの税制上、法人税の課税対象となる収益は主に以下に分類されます。

  • ・事業から生じた収益・利益
  • ・投資から生じた配当・利息
  • ・不動産賃貸などの収益・ロイヤルティ
  • ・その他資産から生じる収益

一方で、課税対象とならない収益としては、

  • ・キャピタルゲイン
  • ・税金免除収益

が該当します。

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4. 法人税にかかる優遇税制

ではここで、先ほど触れた優遇税制についてみていきましょう。

シンガポールでは、全居住法人が対象となる「部分免税制度」「法人税リベート」、そして一定の条件を満たしたスタートアップ企業が対象となる「スタートアップ免税制度」の3つがあります。
それぞれについて、下記に解説します。

a. 部分免税制度

全居住法人が対象となる免税制度です。課税対象となる収益について、部分的に免除がなされます。

◆~YA2019

  • - 最初のSGD10,000までは75%が課税対象外 (最大でSGD 7,500分が免税)
  • - 次のSGD 290,000までは50%が課税対象外 (最大でSGD 145,000分が免税)

YA2020から、免税の上限がSGD100,000引き下げとなります。

◆YA2020~

  • - 最初のSGD10,000までは75%が課税対象外 (最大でSGD 7,500分が免税)
  • - 次のSGD 190,000までは50%が課税対象外 (最大でSGD 95,000分が免税)

b. 法人税リベート

法人税リベートは、シンガポールの居住法人を対象として、事業コストが上昇する中での国際競争力を維持するために導入された、法人税の控除制度です。

このリベートに関しては毎年変更になりますので、シンガポール政府の予算発表(毎年2月頃)を注視しておく必要があります。

過去の法人税リベートは以下のようになっています。

・YA2013からYA2015:法人税額の30%(上限SGD10,000)
・YA2016:法人税額の50%(上限SGD20,000)
・YA2017:法人税額の50%(上限SGD25,000)
・YA2018:法人税額の40%(上限SGD15,000)
・YA2019:法人税額の20%(上限SGD10,000)

c. スタートアップ免税制度

スタートアップ企業支援の目的で制定された免税制度です。
この免税制度を利用するには、以下3つの要件をすべて満たす必要があります。

①株主が20名以下
②全株主が個人であるか、1人の個人株主が最低10%以上の株式を保有している
③シンガポールで設立された法人で、税務上もシンガポール居住法人であること

上記条件を満たせば、設立から3賦課年度は、下記の通り、課税対象となる収益が免税されます。

  • - 最初のSGD100,000までは100%が課税対象外
  • - 次のSGD 200,000までは50%が課税対象外 (SGD 100,000分が免税)

YA2020以降は以下の通りに変更となります。

  • - 最初のSGD100,000までは75%が課税対象外(SGD 75,000分が免税)
  • - 次のSGD 100,000までは50%が課税対象外 (SGD 50,000分が免税)
 

◆コラム~シンガポールの法人税の捉え方~◆

シンガポールは低税率と税制優遇に加えて、外資規制も緩く、英語が通じるため、日系企業の進出先としては、ハードルが最も低い国の一つです。一方で、オフィスなどの家賃、従業員の人件費、生活コストは日本の都市部よりも高くなりがちです。このため、運営コストが高い、法人税が安いというポイント(=木)だけに目を向けるのではなく、進出・運営に係るコスト全体(=森)としてどうなのかという目線が非常に重要になります。
過度な節税に走るのではなく、広告費や人件費などのコストと同じく、法人税もコストの一部として、捉えるという感覚を持ち、払うべきものは払う、無駄なものは払わないといった、コスト管理意識を持つことが大切です。

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5. キャピタルゲインの扱い

キャピタルゲインとは、株式や債券など、保有している資産を売却することによって得られる売買差益のことです。

先述の通り、シンガポールでは基本的にはキャピタルゲインは課税対象外となりますが、短期的な値上がりを目的とした有価証券の取引等は法人税の課税対象となり得ることに注意が必要です。
(税務上のキャピタルゲインには該当せず、損益取引という扱いになります。)

税務上のキャピタルゲインに該当するか否かを判断するにあたっての明確な基準はなく、個別の事象に基づいて判断されることなります。ポイントとしては、以下を考慮する必要があるでしょう。

  • ・売買取引の頻度:頻繁な取引、反復取引は課税対象になりやすい
  • ・売却理由:やむを得ない理由(強制売買・競売など)での売却は課税対象になりづらい
  • ・保有期間:保有期間が長いほど課税対象になりづらい
  • ・資金調達方法:短期の借り入れ金で運用している場合等は課税対象になりやすい

なお、売却元の法人が、売却先の法人の少なくとも20%の株式を24か月以上保有している場合においては、株式の売却から生じた利益は税務上のキャピタルゲインに該当する旨が明示されています(シンガポールの法人所得税法13Z)。

 

◆コラム~なんでもキャピタルゲインで課税対象外とはできない~◆

よくシンガポールに進出される方で「シンガポールで株を売却したら税金はかからない」といった認識をお持ちの方がいます。稀ですが、現地の専門家のアドバイスでもそういったものを耳にします。これは半分正解で、半分間違いです。
そもそもキャピタルゲインは、資本的性質に該当する資産の譲渡を課税対象外とするべく導入されました。このため、会社の事業目的が短期の金融商品の売買で頻繁に株取引を行う場合、そこから生じた売却益は当然、資本的性質には該当せず、収益的性質となるため、課税対象外とはなりません。また、日本から移住する場合には、出国税(国外転出時課税制度)や日本の国内税法では、非居住者が株式譲渡の規定により、日本で税金を支払う必要があるケースがあります。
このため、「シンガポールでの株の売却益は全て課税対象外」という認識は持たずに、背景や趣旨を理解することが重要です。

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6. 移転価格税制とは?

移転価格税制とは、短期的な値上との間の取引を通じた所得の海外移転を防止するため、海外の関連企業との取引が、通常の取引価格(独立企業間の価格)で行われたものとみなして所得を計算し、課税する制度です。

関連当事者間の取引においては、いわゆる、アームスレングスの原則に従う必要があります。

アームスレングスの原則とは、グループ会社・子会社等の関係当事者間での取引において、「誰に対しても同じ腕の長さ(arm’s length)の距離をおく」べしという考え方で、当事者間の独立性を保つために、関係会社間であっても第三者取引と同等の条件で行うことを求めるルールです。

IRAS(シンガポール税務局)では、移転価格税制に関するガイドライン(第5版 2018年2月公表)を定めており、下記のような事象が見受けられる取引は、IRAS税務調査官の取引価格の修正により、追加の納税もしくは将来の繰越欠損金額の減額が行われる可能性があります。

関連当事者間において、比較可能な独立の第三者間で行われたと仮定した場合と異なる商業的・税務的条件の下で、下記のいずれかに該当するような取引

①シンガポール企業の利益を小さくする
②シンガポール企業の税務上の損金算入額を大きくする
③シンガポール企業の損失額を大きくする(将来の繰り越し欠損金を大きくする)

また、IRASにより移転価格調整が行われた場合、当該修正金額に対して、5%の課徴金が、IRAS税務調査官により追徴課税される可能性があります。

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7. 移転価格文書

移転価格文書の内容としては、財政的・経済的状況の分析、適用された移転価格の算出方法の妥当性、アームスレングスの原則に従っていることの説明が必要です。

文書の作成が不十分であった場合、5年間の保存義務を怠った場合、IRAS税務調査官からの提出の求めに30日間応じなかった場合には、SGD10,000を超えない範囲で罰金が科されます。

また、中小企業のコンプライアンス対応の負担を減らすため、以下の要件に該当する場合は文書の作成が免除されています。

・年間の売上高がSGD10milを超えない企業
・年間の売上高がSGD10milを超える場合であっても、関連当事者に対する/関連当事者から受けたサービスの総額がカテゴリー別でSGD1milを超えない場合

ただし、上記免除要件に該当する場合でも、アームスレングスの原則に従っていない取引価格を設定した場合は、IRAS税務調査官から質問が来るケースがあります。

すなわち、免除要件に該当したとしても、関連当事者間の取引価格の根拠を裏付けるような継続的な記録を保持する必要があります。

 

◆コラム~取引がない=アームスレングスではないケースもあり得る~◆

例えば、シンガポールにHQがあり、東南アジア各国にその子会社がある場合を想像してみましょう。HQは、グループ全体のブランド管理機能に加えて、経理部、人事部、経営企画部など一部子会社にも関わるバックオフィス機能を持っているとします。また、HQは運転資金を子会社に貸し出しています。
上記の前提で、各国の子会社は、HQが管理しているブランドを使用している場合、ブランド使用料(ロイヤルティ)としてHQへ支払をする必要があります。また、子会社のバックオフィス機能の一部をHQが肩代わりしている場合、人材サービス料をHQへ支払をする必要があります。さらに、HQからの借入として、利息を支払う必要があります。このように、どの会社がどの機能を持っているかで、適切に費用負担関係を整理することが必要です。国際税務の世界では、「もし第三者にこの作業を委託したら…」という目線が重要になります。その上で、移転価格税制に向けた対応や、各国の源泉税の有無の確認など実務面をカバーしていくことが必要になります。
なお、こういったグループ間取引の整理は、日系企業は遅れがちで、欧米企業や、欧米人がCFOとして参画しているローカル企業は進んでいる傾向にあります。

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(注)上記記述は、その内容を弊社が保証するものではありません。

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